指宿枕崎線は廃線!?(JR九州の赤字路線で廃止候補)

コラム

JR九州が管理・運営する指宿枕崎線は、鹿児島中央駅〜枕崎駅を結ぶ全長87.8kmの路線で、乗客数の利用低迷・沿線人口の減少により、たびたび廃止の検討が行われているとされています

指宿枕崎線は、沿線に砂蒸し温泉で有名な指宿やカツオで有名な枕崎など、観光資源も豊富な路線を走っており、鉄道最南端の駅「西大山駅」を有しています

また、観光列車「指宿のたまて箱」も走り、JR九州としても乗客を増やす取り組みを行なっています

しかし現状は、鹿児島中央駅〜指宿駅あたりまでは、ローカル線の中でも利用客は一定水準を維持していますが、それより先の枕崎駅に向かう毎に利用者が減少し、極端に利用客が減っていきます

スポンサーリンク

指宿枕崎線の基本情報(路線データ)

【指宿枕崎線の基本情報】
起点:鹿児島中央駅
終点:枕崎駅
駅数:36駅
軌間:1,067mm(狭軌)
線路数:全線単線
路線距離:87.8km
電化方式:全線非電化
最高速度:85km/h

指宿枕崎線は、JR九州が管理・運営する路線の一つで、鹿児島県の薩摩半島南部に位置しています

県庁所在地で南九州最大の都市である鹿児島市から、砂蒸し温泉で有名な指宿を経由し、港町である枕崎市を結ぶ、観光・通勤・通学路線となっています

鹿児島中央駅から喜入駅の区間では、JR九州のIC乗車カード「SUGOCA」を利用できます

沿線データ

鹿児島中央駅から南下し、しばらくは鹿児島市内南部の商業・住宅地帯を通り、谷山までは鹿児島市電とほぼ並行しています

定期券では、鹿児島市電の定期券より安いため、JR指宿枕崎線の定期券の利用者も多いとされています

指宿駅までは、鹿児島湾沿いを走り、対岸には桜島や大隅半島を見ることができます

指宿駅を越えると、終点の枕崎駅までの多くの駅で無人駅となっています

運行形態

乗客の利用が少ないことから、多くの普通列車・快速列車でワンマン運転を行なっています

基本は、鹿児島中央駅〜枕崎駅での運行ですが、平日の朝や夕方の通勤・通学時間帯の一部で、鹿児島本線と直通運転をしています

鹿児島中央駅〜喜入駅では、15分〜40分間隔の運行で、喜入駅〜山川駅では約1時間間隔の運行です

2016年3月の改正で、慈眼寺発着1往復が設定されたことで、平日の鹿児島中央駅基準の運行本数は、特急を含めて上り49本、下り51本となり、単線非電化のローカル線でありながら複線電化の鹿児島本線伊集院方面の鹿児島中央駅基準の平日上下各42本を大幅に上回るなど、九州新幹線を含めて鹿児島中央駅を発着する路線で最大の運行本数があります

利用状況

指宿枕崎線の平均の旅客数、旅客運輸収入は下表のとおりとなります


年度
旅客数
(全区間)
旅客数
(鹿児島中央〜喜入)
旅客数
(喜入〜指宿)
旅客数
(指宿〜枕崎)
旅客運輸収入
19873,7518,2533,687942
20163,2078,3322,4773011,246
20173,2698,4742,5513061,341
20183,2838,5552,5372911,352

指宿枕崎線の中でも、指宿駅を境に、指宿駅〜枕崎駅の区間での旅客数は極端に少ないことが見て取れます

使用車両

使用車両は、下記の2種の車両になります

  • キハ40系
  • キハ200系

指宿枕崎線で運行している観光列車「指宿のたまて箱」も、キハ47・キハ140の改造車を使用しています

指宿枕崎線の駅一覧

駅名駅間
(営業キロ)
累計
(営業キロ)
所在地
鹿児島中央駅0.0鹿児島市
郡元駅2.22.2
南鹿児島駅1.33.5
宇宿駅1.44.9
谷山駅2.67.5
慈眼寺駅1.79.2
坂之上駅2.111.3
五位野駅2.814.1
平川駅3.117.2
瀬々串駅3.420.6
中名駅3.424.0
喜入駅2.626.6
前之浜駅3.830.4
生見駅4.635.0
薩摩今和泉駅2.937.9指宿市
宮ヶ浜駅2.840.7
二月田駅2.743.4
指宿駅2.345.7
山川駅4.350.0
大山駅4.254.2
西大山駅2.556.7
薩摩川尻駅1.157.8
東開聞駅1.859.6
開聞駅1.461.0
入野駅1.862.8
頴娃駅3.366.1南九州駅
西頴娃駅1.667.7
御領駅2.770.4
石垣駅2.472.8
水成川駅1.474.2
頴娃大川駅1.876.0
松ヶ浦駅2.178.1
薩摩塩屋駅1.879.9
白沢駅2.081.9枕崎市
薩摩板敷駅2.584.4
枕崎駅3.487.8

指宿枕崎線では、大まかに3km前後ごとに駅が設置されています

駅間の最短区間は西大山駅〜薩摩川尻駅の1.1kmであり、最大区間は前之浜駅〜生見駅の4.6kmです

指宿枕崎線の廃止の可能性

ここでは、指宿枕崎線の廃止の可能性について解説していきたいと思います

指宿枕崎線は常に赤字

JR九州は、輸送密度2,000人未満のローカル線の線区別収支を公表しています

2020年度の線区別収支では、指宿枕崎線の営業収支は下表のとおりとなっています

営業キロ
(km)
営業収益
(百万円)
営業費
(百万円)
営業損益
(百万円)
喜入駅〜指宿駅19.1116364▲248
指宿駅〜枕崎駅42.128550▲522

指宿枕崎線の喜入駅〜指宿駅では、1億1600万円の営業収益(売上)を得るのに、3億6400万円の営業費がかかっています

それより利用客の少ない指宿駅〜枕崎駅では、2800万円の営業収益を得るのに、5億5000万円の営業費がかかっています

どちらにおいても、営業収益を越える営業費用がかかっているため、赤字路線となります

このように、利用客の少ないローカル線のみ公表しているのは、厳しい収支状況を公表することで、沿線自治体や住民に対して、路線維持の協力を求めているとの無言の圧力を発していると思われます

もしくは、将来的に廃線にするための意識と覚悟を、沿線の自治体・住民に対して発信しているのだと思われます

今後の乗客見込み

指宿枕崎線の沿線人口(鹿児島市、指宿市、南九州市、枕崎市)は既に減少しています

ここ10年間の沿線人口は、4市全てで減少に転じており、10年で10%を越える大幅な人口減を迎えています

人口
(2010年)
人口
(2020年)
人口減少数
(10年間)
人口減少率
(10年間)
鹿児島市605,846593,128-12,718-2.1%
指宿市44,39639,011-5,385-12.1%
南九州市39,06533,080-5,985-15.3%
枕崎市23,15420,033-3,121-13.5%

また、4市ともに生産年齢人口が減少し、高齢化率は高まっていることから、人口減少率以上に、通勤・通学の人口減少率が大きく、利用客の増加が見込めない状況です

特に利用客の少ない枕崎市に着目すると、枕崎から鹿児島市内に向かうとなると、国道225号線を通る直通バスが近く、早く、安いため、指宿駅〜枕崎駅はさらに需要が見込めません

【参考】
鹿児島中央駅〜枕崎駅(鉄道):約2時間半、1,850円
鹿児島中央駅〜枕崎駅(バス):約1時間半、1,250円

JR九州の見解

2014年7月19日(土)JR九州の指宿枕崎線について、「存続か廃止か、検討の対象となりそうだ」との報道がありました

JR九州の青柳社長は、指宿枕崎線に関し、将来的には区間によって存廃を考えることになると発言したと伝えられました

上記で述べたように、指宿枕崎線は指宿駅を境に利用客が極端に減少します

鹿児島中央駅〜指宿駅はそれなりに利用客が見込め、鹿児島市内においては商業・住宅地帯の中で今後も一定数は確保できる環境であるため、「区間によって」としたものとされています

また、JR九州は2016年10月に民営化を果たしました

民営化を果たした以上は、いつまでも利益の見込めない赤字路線に黒字路線の収益を補填する状況が続くとは思えず、近い将来メスが入るのは当然とも思えます

コラム
スポンサーリンク
はやぶさをフォローする
はやぶさブログ

コメント

  1. HIRO より:

    リアルな話、喜入〜枕崎間は中型バスで事足りる。
    いぶたまも1日1往復で充分。観光客重視なら「ななつ星」と同様にツアーデスクを設けて通勤通学利用者を減らすべき。

タイトルとURLをコピーしました