伊根浦伝統的建造物群保存地区は、京都府北部の日本海側に位置する伊根町にあります
毎年多くの観光客が訪れるこの地区は、城下町や宿場町、門前町などに残る歴史的な集落や町並みの保存を目的とした文化財保護法に基づく重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)の一つです
伊根浦は、全国126地区ある重伝建の中で「漁村」として初めて選定された地区になります
伊根浦の概要
地区の名称
伊根町伊根浦伝統的建造物群保存地区
所在地
京都府与謝郡伊根町字日出、字平田、宇亀島の各一部
面積
約310.2ha(東西に約2,650m、南北に約1,700m)
種類
漁村
重要伝統的建造物群保存地区の種別には、それまで漁村としての選定はなく、重伝建地区選定に新しい可能性を示し、選定区域内に海が含まれることも重伝建地区としては初めての例となりました
建造物等の数
主屋134、船屋113、土蔵128、その他63、工作物5、環境物件15の計458件あります
選定地区の中では、奈良県橿原市の今井町に次いで2番目に多い件数です
選定日
平成17年7月22日
伊根浦の特徴
伊根浦を特徴付けるのは、海岸沿いに連続する船屋群であるが、明治13年より昭和25年までのブリ景気によって、その多くが瓦葺2階建に建て替えられました
また、昭和6年から約10年の歳月を費やして行われた府道伊根港線の拡張工事は、総延長約5kmに渡って幅員4mの道路を主屋と船屋との間に敷設するものであり、これによってそれまで主屋と近接して建っていた船屋や土蔵が海側へと移設され、多くの船屋が2階建てに変わっていきました
しかしながら、その規模や形態については伝統が維持され続けていました
以後は大きな変化もなく、同形態・同規模で連続性のある船屋群の景観が継承され、現在でも約230棟の船屋が伊根湾の海岸沿いに連続して建ち並び、歴史的風致を形成しています
船屋や主屋等からなる江戸末期から昭和初期にかけての伊根湾の町並みは、伊根湾や青島、これらを囲む漁付林という周辺環境とあいまって独特の歴史的景観を今日に伝えています
伊根浦の歴史・選定の経過
地区のあゆみ
平成5年 | 伊根町船屋群等保存検討委員会設置 |
平成6年 | 伊根町船屋景観維持保全計画策定 |
平成13〜15年 | 伊根浦伝統的建造物群保存対策調査 |
平成15年 | 伊根町伝統的建造物群保存地区保存条例制定 |
平成17年 | 重要伝統的建造物群保存地区選定 修理修景事業開始 |
平成20年 | 特定非営利活動法人「日本で最も美しい村」連合へ加盟 |
平成23年 | 伊根浦観光振興ビジョン策定 |
平成26年 | 秋篠宮同妃両殿下ご来町 「海の京都」重点整備地区の鳥屋をご視察される 「日本で最も美しい村」連合定期総会・戦略会議開催 |
伊根浦の保存と整備
地区の保存・整備の一環として、建物の修理を行なったり、景観舗装を施したりしています
選定後127件の修理事業を行い、17件の修景事業を実施しています
伊根浦の活用とまちづくり
伊根町観光交流施設「船屋日和」の整備
船屋の景観が途切れていた空き地に周囲と連続した船屋の景観を創出する公設民営の観光交流施設を整備しました
お試し住宅事業
本町への移住の推進を図り、もって本町への人口の流入を促進するため、本町への移住を検討している方が、本町の風土及び日常生活を体験しながら、定住の足掛かりとするため、一時的に移住する住宅を提供しています
景観保全の取組
平成20年:NPO法人「日本で最も美しい村」連合加盟
平成23年:景観行政団体に移行
平成26年:伊根町景観計画策定
平成28年:伊根町景観条例制定・伊根町屋外広告物条例制定
伊根浦の住民等の取組
町並み美化運動クリーンキャンペーン
伊根湾を含めた景観保全、美化を目的として実施します
陸上のゴミだけでなく、船を用いて海上(船屋前)に浮遊するゴミを回収し、一斉清掃を行なっています
防火座談会及び消化器講習会・消火栓操作説明会
防火に関する知識の向上、安全で確実に消化器具を使用できるよう訓練し、技術の向上を図っています
景観サポーター
地区内を巡回し、景観資源の調査や町内の景観マナーに関する点検活動、町内や事業者等の景観意識の向上を図る活動を実施しています
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